市川雷蔵没後40年特別企画 大雷蔵祭を振り返る。

大雷蔵祭とは

1969年、日本映画黄金期の15年間を駆け抜けた一人の俳優『市川雷蔵』。享年37歳。
若くしてこの世を去った雷蔵が遺した159本の作品は、今なお光り輝き、観る者の心を惹きつけて止まない。それどころか、生前の雷蔵の活躍を知らない若い観客を増やし続けている。

彼の死から5年後の1974年にはファンクラブ「朗雷会」が発足。また京都では、雷蔵の命日にあたる7月17日に行われる「市川雷蔵映画祭」で主演作品を上映することが夏の恒例行事となっている。

2009年は、永遠の映画スター市川雷蔵の没後40年目の区切りの年であり、2009年12月から2011年5月まで雷蔵の出演作品を上映する『没後40年特別企画 大雷蔵祭』が開催された。
実に5年ぶりとなるこの映画祭は、159本の圧倒的なフィルモグラフィーから、100作品が集められた。
人気シリーズ眠狂四郎の12作を全て上映するほか、大菩薩峠3部作、陸軍中野学校全5作とシリーズ作品をラインナップ。「薄桜記」「弁天小僧」「炎上」などの人気作はもちろん、これまでの映画祭では上映の機会がなかった作品。また、これまで雷蔵の出演作は158本とされてきたが、このたび雷蔵がノンクレジットでカメオ出演していた「おてもやん」が確認され、これを159番目の作品として上映。全100作品のうち、44作品がニュープリント上映であった。

上映作品

  1. 千姫
  2. 次男坊鴉
  3. 踊り子行状記
  4. 新・平家物語
  5. 大阪物語
  6. 朱雀門
  7. 源氏物語・浮舟
  8. 桃太郎侍
  9. 月姫系図
  10. 命を賭ける男
  11. 女狐風呂
  12. 人肌孔雀
  13. 炎上
  14. 濡れ髪剣法
  15. 弁天小僧
  16. 人肌牡丹
  17. 遊太郎巷談
  18. 蛇姫様
  19. 若き日の信長
  20. お嬢吉三
  21. 千羽鶴秘帖
  22. ジャン・有馬の襲撃
  23. 濡れ髪三度笠
  24. かげろう絵図
  25. 薄桜記
  26. 浮かれ三度笠
  27. 初春狸御殿
  28. 二人の武蔵
  29. 濡れ髪喧嘩旅
  30. ぼんち
  31. 大江山酒天童子
  32. 歌行燈
  33. 切られ与三郎
  34. 安珍と清姫
  35. 大菩薩峠
  36. 忠直卿行状記
  37. 大菩薩峠・竜神の巻
  38. 花くらべ狸道中
  39. 濡れ髪牡丹
  40. 好色一代男
  41. おけさ唄えば
  42. おてもやん
  43. 大菩薩峠・完結篇
  44. 沓掛時次郎
  45. 鯉名の銀平
  46. 新源氏物語
  47. かげろう侍
  48. 花の兄弟
  49. 女と三悪人
  50. 婦系図
  51. 破戒
  52. 中山七里
  53. 斬る
  54. 江戸へ百七十里
  55. 長脇差忠臣蔵
  56. 殺陣師段平
  57. 忍びの者
  58. 陽気な殿様
  59. 新選組始末記
  60. 影を斬る
  61. 第三の影武者
  62. 手討
  63. てんやわんや次郎長道中
  64. 続・忍びの者
  65. 妖僧
  66. 眠狂四郎 殺法帖
  67. 眠狂四郎 勝負
  68. 昨日消えた男
  69. 眠狂四郎 円月斬り
  70. 忍びの者霧隠才蔵
  71. 無宿者
  72. 眠狂四郎 女妖剣
  73. 博徒ざむらい
  74. 忍びの者 続・霧隠才蔵
  75. 眠狂四郎 炎情剣
  76. 赤い手裏剣
  77. 若親分
  78. 眠狂四郎 魔性剣
  79. 若親分出獄
  80. 新鞍馬天狗
  81. 剣鬼
  82. 新鞍馬天狗 五條坂の決闘
  83. 眠狂四郎 多情剣
  84. 陸軍中野学校
  85. 大殺陣雄呂血
  86. 陸軍中野学校 雲一号指令
  87. 眠狂四郎 無頼剣
  88. 陸軍中野学校 竜三号指令
  89. ある殺し屋
  90. 陸軍中野学校 密命
  91. 眠狂四郎無頼控 魔性の肌
  92. 華岡青洲の妻
  93. ある殺し屋の鍵
  94. 眠狂四郎 女地獄
  95. 陸軍中野学校 開戦前夜
  96. ひとり狼
  97. 眠狂四郎 人肌蜘蛛
  98. 眠狂四郎 悪女狩り
  99. 博徒一代血祭り不動

市川雷蔵

1931年(昭和6年)、8月29日、京都生まれ。生後六ヶ月で歌舞伎俳優市川九団次の養子となる。1946年11月、15歳の時に大阪歌舞伎座で三世市川莚蔵として初舞台を踏む(「中山七里」娘お花役)。1951年、関西歌舞伎界の長老市川寿海の養子となり、同年6月、大阪歌舞伎座「白浪五人男」で襲名披露、五世市川雷蔵を名乗る。1953年、大映より入社を懇願され、翌54年入社。デビュー作は「花の白虎隊」(54)。この作品は雷蔵を主演に、勝新太郎、花柳武始、小町瑠美子、高倉一郎の新人5人をまとめてデビューさせた当時のアイドル映画。翌55年に巨匠、溝口健二監督によって「新・平家物語」の主役、平清盛に抜擢され、それまでの“線の細い美男タイプ”のイメージを打ち破る、情熱的で骨太な演技を見せる。58年には初の現代劇である市川崑監督の「炎上」(原作・三島由紀夫「金閣寺」)に周囲の反対を押し切って出演。金閣寺に放火する吃音症の青年という難役を見事に演じ、翌年のキネマ旬報主演男優賞、ブルーリボン主演男優賞、NHK映画最優秀主演男優賞を受賞、確固たるスターの地位を築く。

このころを境に、長谷川一夫に代表されるような“白塗りの二枚目”から、リアルなメイクとリアリズムを追及したドラマで、雷蔵独自の清々しさと悲劇性を際立たせた作品が多くなっていく。特に後に名コンビと謳われる三隅研次監督の作品には、「大菩薩峠」(60)「斬る」(62)眠狂四郎シリーズ等、雷蔵の個性を最大限に発揮させた傑作が多い。

また、池広一夫監督と組んだドラマチックな股旅時代劇「沓掛時次郎」(61)「ひとり狼」(68)、田中徳三監督との「お嬢吉三」(59)「濡れ髪牡丹」(61)の艶やかさ、時代劇の大御所伊藤大輔監督との“歌舞伎もの”「弁天小僧」(58)「切られ与三郎」(60)の華麗な格調高さ等、多様な魅力で年間平均約10本もの作品に主演する。シリーズものとしては、忍びの者シリーズが62年より(全8作品)、眠狂四郎が63年より(全12作品)、若親分が65年より(全8作品)、陸軍中野学校が66年より(全5作品)それぞれ始まり、市川雷蔵はプログラムピクチュアの黄金期を担って行くことになる。総出演作品数は特別出演のものも含め、158本にのぼる。

1969年7月17日、ガンにより逝去。享年37歳。遺作は「博徒一代・血祭り不動」(69)。

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